【銀が持つ、時間の奥行きを表現する】
「燻 0」は、変化する前の銀箔と、硫化によって黒く変化した箔の粉を用いた京扇子です。
銀は硫黄分と反応することで少しずつ色を変え、やがて黒へと近づいていきます。
その始まりにある銀と、行き着く先の黒。
異なる時間の姿を一つの扇面に取り入れることで、銀という素材が持つ変化の幅を、そのまま意匠として生かしています。
銀と黒による無彩色の仕上がりは、どこか無機質で現代的な印象を持ちながら、扇子を形づくる竹の自然な質感や、時間とともに変化していく素材の性質とも重なります。
無機質なものと有機的なもの。現代的な佇まいと、古くから受け継がれてきた素材や技法。
異なる要素を一つの扇子の中に共存させることで、過去と現在が自然につながるような表情を目指しました。
銀の始まりと行き着く先を、一つの扇面に重ねた一本です。
【短地の仕立て】
「短地」は、扇面の紙の部分を浅くし、竹の扇骨を広く見せる形です。
無彩色の扇面に、唐木骨の色味と放射状に並ぶ竹の線を合わせています。銀と黒の表情に竹の自然な質感が加わり、素材の取り合わせを楽しめます。
【京扇子としてのものづくり】
箔押しには、膠を用いる伝統技法を受け継いでいます。箔を押した紙に折り目をつけ、扇子へと仕立てていく、その後の工程にも適した方法です。
扇子の仕立ては、京都の老舗・宮脇賣扇庵によるものです。扇骨、折り、附けと、それぞれの職人の仕事を重ね、一本の京扇子へと仕上げています。
【布ケース付き】
持ち運びにお使いいただける布製の扇子ケースを合わせています。
【素材・サイズ】
扇面 和紙、焼箔、銀箔、両面加工
扇骨 唐木骨
高さ 約22.5cm(7寸5分)×幅 約41.5cm
【素材の表情について】
焼箔には、一枚ごとの色合いや質感の違いがあります。一つひとつ手作業で制作しているため、写真とまったく同じ表情にはなりません。素材と手仕事による違いとしてお楽しみください。
金属箔の性質上、光の当たり方や見る角度によって、色の見え方が異なります。
焼箔は、制作時に硫化によって色を引き出したものを使用しています。銀の性質上、ご使用・保管の環境によっては、さらに色が変わる場合があります。
【長くお使いいただくために】
使わない季節には、扇子を閉じ、付属の輪状の紙「セメ」をかけて箱に保管してください。竹と紙でできた扇子の形を整えて保つために、箱とセメも一緒に残しておくことをおすすめします。
ご不明な点は、ご購入前にお問い合わせください。